2018年4月に、韓国と北朝鮮の首脳による南北首脳会談が開催されました。
会場となった板門店は韓国と北朝鮮の軍事境界線上にあるので、警備が厳重で観光客が入ることなどできないだろう、と思われる方もいらっしゃるかと思います。
ところがこの板門店、実は韓国のソウルから日帰りで訪れることができるのです。
では、いったいどのような方法で訪れることができるのでしょうか?
板門店ってどんなところ?
板門店は、韓国と北朝鮮の間に位置する朝鮮戦争停戦のための軍事境界線上にある地区です。北側の朝鮮人民軍、中国人民志願軍と南側の国連軍で停戦協定が1953年に調印され、以降60年以上に渡る朝鮮の南北分断を象徴する場所となっているところです。
朝鮮戦争はいまだ決着がついておらず、両国は「停戦」状態、つまり一時的に戦争していない状態となっています。
板門店を訪れるにあたり
板門店を取り扱った映画として有名なのが、2000年公開の映画「JSA」です。
韓国軍を含んだ国連軍と、北朝鮮軍の兵士が共同で警備に当たるJSA(Joint Security Area、共同警備区域) において、ひょんなことから奇妙な友情を育む事となった南北の兵士達の交流とその顛末を描いた映画となっています。
フィクション映画ですが、エンターテインメントとして楽しめるだけでなく、韓国と北朝鮮の関係を知る契機となる良い映画ですので、板門店を訪れる際には一度鑑賞しみると良いかと思います。
板門店へ行ってみた
ではこの板門店、いったいどのような方法で訪れることができるのでしょうか?実際に僕が板門店へ行ったときのことをレポートしてみようと思います。
板門店は個人観光では近づくことができないエリアなのですが、実は以下リンクのようにツアーが開催されており、ツアー限定で行くことができるのです。土曜日開催のツアーもあるので、旅程により都合の良い日を選ぶことができます。
https://www.konest.com/tour/tour_detail.html?t_id=jsa_icsc
ソウルから国境までは、道路交通状況によりますがバスで1~2時間ぐらいです。途中で1度休憩してこの所要時間です。あまりの近さにビックリしました。
まず、統一大橋の検問所へ到着します。統一大橋は臨津江に掛かる橋で、ここから北は民間人が入れない地域になります。DMZ(DeMilitarized Zone、非武装地帯)の入り口、と考えられます。検問所ではパスポートチェックがあります。韓国軍の兵士がバス内に入り、ツアー客のパスポートと顔をチェックしていきます。
検問が終わると橋を渡り、韓国側最前線基地であるキャンプボニファスに到着します。ここにあるビジターセンターで板門店の説明が行われます。説明内容は、朝鮮戦争の流れと停戦、板門店の設置についての解説などでした。その後、板門店での禁止事項の説明を受けます。
禁止事項は、、、
飲食
飲酒
バッグの持込(バスに置いていきます)
傘・杖の持ち込み
指をさすこと
合図をすること
大声で話すこと
などなど
何度も念を押されました。
説明の後に誓約書に署名を求められます。何が起きても自己責任、死んでも自己責任といった内容です。
説明中に2回目の検問が行われます。
その後、国連軍関係者を示すバッジを渡されます。観光客ではなく、あくまで国連軍関係者です、という論理が大事なのかもしれません。このバッジは見学終了まで目立つところにつける必要があります。
いよいよ板門店に向かいます。板門店までは、ソウルから乗ってきたバスではなく、国連軍のバスで向かいます。
持ち込めるのは貴重品、スマホ、カメラのみ。カバンなどはソウルから乗ってきたバスに置いていきます。周りは一見のどかな農村風景が広がっているのですが、よ~く見ると監視所や有刺鉄線が所々にあるのが見えます。
やがて北朝鮮が建設した世界最大級の国旗掲揚塔が見えてきます。
その後しばらくすると、板門店に到着します。
まずは丘の上から北朝鮮側を見てみます。
見張り台に北朝鮮軍兵士がいます。
次に会議施設内に入ります。会議室内から外に見える北朝鮮兵士を撮影します。
南北境界線
コンクリートブロックが南北境界線で、右が韓国、左が北朝鮮です。会議施設は境界線上に建っており、この施設内であれば北朝鮮側に入国できます。
その後、バスに乗車してキャンプボニファスに戻ります。キャンプボニファスに到着したら国連バッジを返却し、ビジターセンターで30分程度の自由時間となります。1階にお土産屋、2階に展示室があります。お土産屋では、DMZのロゴが入ったTシャツや,北朝鮮産のお酒などが販売されています。
有刺鉄線を買ってしまいました。
旅のテンションで思わず買ってしまった、という表現がしっくりくる土産物です。
おわりに
非常に貴重な経験ができる「板門店ツアー」。
普段とはかなり違った韓国を見ることが出来るので、興味のある方は参加してみるのも良いかと思います。
普通の観光ツアーの様な気楽なツアーとはいきませんが、ツアーに参加することで、通常の観光では感じることができない何かを、感じることができるかもしれません。
なお、帰国後に友人とか同僚とかに「北朝鮮行ってきたんだぜ」的な自慢を、一応することができますね。
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